データ活用

データ活用プロジェクトの8割が失敗する理由と、その簡単な回避方法

 

はじめに

こんにちは、毛利です。

近年、多くの企業でデータ活用やAI導入への関心が高まっています。

しかし実際には、データ活用プロジェクトの多くが期待された成果を得られずに終了しているのが現実です。

本記事では、なぜデータ活用プロジェクトが失敗するのか、そして成功に導くための要件定義の重要性について解説します。

データ活用プロジェクトの現状と課題

調査によると、データ活用プロジェクトの80%以上が期待された成果を達成できていません。

この高い失敗率の背景には、プロジェクト開始時における目的設定の曖昧さが大きく影響しています。

「とりあえず分析」アプローチの危険性

多くの組織で見られるのが「まずはデータを集めて分析してみよう」「AIを導入すれば何か見えてくるはず」といった探索的なアプローチです。

経営層から「ビッグデータで何かできないか」と言われて、とりあえず始めてしまうケースが少なくありません。

しかし、これは目的地を決めずに旅行に出かけるようなものです。「とりあえず北に向かえば何か面白いものがあるはず」と車を走らせても、ガソリンを無駄にするだけに終わってしまいます。

現場で起きている課題

実務担当者が直面している課題は深刻です:

分析結果を提示しても、経営陣から「で、これで何がわかるの?」と聞かれて答えられない

せっかく時間をかけて作成した詳細なレポートも、「ふーん、で?」という反応で終わってしまう。

これでは担当者のモチベーションが下がってしまうのも当然です。

投入した時間と労力に見合う成果を示せない

データ活用には相当な工数がかかりますが、それに見合った価値を証明できなければ、組織全体のデータ活用への信頼が失われてしまいます。

成功の鍵:適切な要件定義

解決したい課題を具体的にする

データ活用プロジェクトを成功させるには、「何を解決したいか」をできる限り具体的にすることが重要です。要件定義とは、プロジェクトの目標、範囲、成果物について関係者間で合意を形成するプロセスのことです。

たとえば、ラーメン屋の売上向上を考えてみましょう。

悪い例:「売上を伸ばしたい」 良い例:「来月の売上を10%上げたい」「20代女性客の来店頻度を月2回に増やしたい」

このように具体化することで、必要なデータも明確になります。年齢別の来店データ、曜日別の売上、人気メニューの分析など、目的に合わせて効率的にデータを収集できるようになります。

関係者間での合意形成の重要性

要件定義で特に注意したいのが「関係者間での合意」です。

  • 社長:「とにかく売上向上」
  • 現場部門:「業務効率化が優先」
  • 営業部門:「顧客満足度の向上」

このように各部門の優先事項が異なることは珍しくありません。この認識のズレを放置すると、プロジェクト終盤で「思っていたのと違う」という事態になりかねません。面倒に感じるかもしれませんが、最初にしっかりと話し合って合意を得ることが重要です。

成果物のイメージを共有する

もう一つ重要なのが「成果物のイメージ」を関係者で共有することです。

  • 5ページ程度の分析レポートなのか
  • リアルタイムで確認できるダッシュボードなのか
  • 週次で更新される簡易レポートなのか

これらの違いによって、必要な技術要件や運用体制が大きく変わります。実際に、高度な分析システムを構築したものの、現場の人が「使い方がわからない」と言って放置されているケースも存在します。せっかくの投資を無駄にしないためにも、成果物の仕様は事前に明確化しておく必要があります。

まとめ

データ活用プロジェクトの成功には、技術的な能力以前に、適切な要件定義が不可欠です。具体的には以下の3つの要素が重要になります:

  1. 解決すべき課題の明確化
  2. 関係者間での目標合意
  3. 成果物仕様の詳細化

これらのプロセスを丁寧に実行することで、プロジェクトの方向性が明確になり、期待される成果の実現可能性が大幅に向上します。

データ活用は、適切に実施されれば組織に大きな価値をもたらす活動です。「みんなで目的地を決めてから出発する」という基本的なアプローチを徹底することで、より多くの組織がデータ活用の成功体験を得られるようになることを期待しています。

 

さいごに

弊社では、こうした自社でデータ活用支援を進めたい企業をサポートしております。

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